Shioika Blog

PCやカメラ、写真、機械いじりについての記録。

FORD1000トラクターは2種類存在した?古いカタログから探る

今日は古いカタログを見ていこうと思います。カテゴリも作ったので今後はシリーズにするつもりです。(興味ある人は少ないと思いますが・・)

 

FORD1000型トラクタです。実物も持っているので過去の記事でも何度か出てますね。

しかし!右上に22HPと書いてあるではないですか?うちのは25馬力なんですけど!?

これは一体どういうことだ・・・?

 

比べて見るといろいろと違った。右がうちの機体です。

・燃料タンクとバッテリーの位置が逆

・噴射ポンプの形が違う

・オイルフィルターの出ている向きが違う など。

ここまで違うと中身が違うのでは?という疑惑が湧いてきます。

 

とりあえずカタログを見ていきます。

1ページめくると作業風景の写真と社長からのごあいさつ。

このたびフォード社は日本の高度な技術と提携いたしまして、皆様方のご要望におこたえすべく日本専用の中型トラクターを開発いたしました。今ここにフォード1000トラクターをもちまして、いっそう皆様方のお役に立ちたいと存じております。

かなり力を入れて開発したというのが伝わってきます。シバウラのOEMのはずですが、ただ色を替えただけでなく何かチューニングしているのでしょうか?

それより気になったのが「中型トラクター」という表記。個人的には22HPなら「小型」の分類でいいと思ってしまいます。耕うん機が主流だった当時は、これでも大きい方だったのでしょうね。

 

いい写真ですねぇ・・。林の中をこちらに走ってくる様子だったり、いかにも今日出したばかりって感じのピカピカな麦わら帽子をかぶっているところもいかにもカタログっぽくて好きです。

このページにヒントになりそうなことが書かれているので抜き出してみます。

フォード1000は”ぜいたく”なトラクターです。

新発売のフォード1000トラクターには、今までの20馬力級には見られなかった新しい機構が各部にとり入れられております。苛酷な作業をする時、きっとあなたはフォード1000のすばらしさを発見するにちがいありません。その意味ではフォードに限り”悪条件こそフォード1000を知る最良の条件”と云えるかもしれません―

 

<<特長>>

●エンジン

水冷ジーゼル2気筒ーー燃料消費が少なく、耐久力は抜群。

安全始動装置ーークラッチを踏まないとエンジンが始動しません。

トランスミッション

前進9段後進3段ーーきめ細かな作業速度が得られます。

●P・T・O

独立3段式ーー特にロータリー作業に威力を発揮。

PTOカバー ーー衣服等が巻き込まれる危険はありません。

●ブレーキ

大容量密閉式ーー軽く確実な操向が出来、安全です。

☆グリースアップが不要ですので、保守点検がとても容易におこなえます。

エンジンは水冷ディーゼル2気筒、ここは同じです。排気量は?ですが。

前進9段後進3段、PTO3段も同じです。う~ん・・ギアというか足回り系は変わってないみたいに思えますね。

グリスアップが不要っていうのは信じがたいですが(笑) もし本当ならスゴイです。

 

1ページを丸々使っての油圧機構の説明。相当大きなウリだったんですね。

右のページに仕様の詳細が書いてあります。これを待っていた!

 

エンジン 水冷ジーゼル4サイクル 1103cc

     定格 22.0HP / 2550r.p.m

あー!排気量が違う!うちのは1272cc/25PS です。

ってことはエンジンが別物なんですね。こいつの正体はいったい・・?

 

youtu.be

ネットの海を探し回って海外の方の動画を見つけました。

現存数が少ないらしく、全くヒットしません。激レアかも。

 

ボンネットに穴が開いているみたいです。ここも違うところ。

 

ピンボケでめっちゃ読みにくいですけど、こちらが銘板です。

MODEL FORD 1000

CHASSIS NUMBER  F-100〇2

ENGINE NUMBER  〇110-〇〇〇〇〇〇

ISHIKAWAJIMA SHIBAURA MACHINERY CO.LTD

この銘板から、①シバウラ製 ②エンジン形式 : 〇110だと分かりました。

うちのはエンジンがLE892型なので別物ということで確定ですね。

 

たぶんこれじゃないか?

見た目で近いものを探した結果、シバウラS1200にたどり着きました。

ボンネット上の穴、下斜めに出たオイルフィルターなど特徴的な部分が一致しています。これは正解なのか!?

 

こうやって並べるとかなり似ていると思いませんか?

エンジン周りやブレーキ/アクセルペダルのあたりにかけてそっくりです。

 

oba-shima.mito-city.com

スペックや特長について大場島さんのブログに記載がありました。ありがたく引用させていただきます。

S-1200 中形ホイール20PS

・前進9段、後進3段の多段ミッション

PTO変速が独立3段式

 

エンジンはB110水冷ディーゼル 1103cc 20PS 2600rpm

 

前進9段 後進3段のミッション ←一致

PTO3段 ←一致

エンジン形式 B110 ←下3ケタ一致

エンジン排気量 1103cc ←一致

 

一致している部分がいくつもあるので、これは同じものだと言い切りたいところなのですが・・馬力が違うんですよねこれが。

排気量が同じで馬力が違うなんて・・そんなことあるの?噴射量とかの調整なのかなぁ。もしかしたらフォードオリジナルでチューニングしているのかもしれませんね。

 

シバウラS1200は昭和45年(1970年)のカタログに載っているらしいので、生まれはそれ以前・・1960年代後半でしょうか。

それに対して後期型のFORD1000の中身であるシバウラS1500は、1974年のカタログに載っています。こちらの生まれは1970年くらいかな。

そして、FORD1000については日本ニューホランドのサイトに「1970年に発売開始」とあります。ややこしくなってきたぞ(笑)

 

まとめるとこんな感じ。それぞれの販売終了は不明なので「?」にしています。

1970年、シバウラ側としては販売のメインをS1200からS1500へと移していくでしょうから、ちょうどその複雑な時期に発売となった前期型のFORD1000はかなり短命だったんじゃないかな・・。現存数の少なさから考えても、あながち間違ってない気がします。

 

ここまでの情報から導き出した私なりの結論は・・・

①FORD 1000型トラクターは2種類存在する

②前期型のベースはシバウラS1200型(エンジンはチューニングしてる?)

③前期型は販売台数が少ない(かも)

このようになりました。

 

なんだか謎が解けたみたいにスッキリしました(笑) 

こうして深く考えてみるのも楽しいですね。いつかは本物も入手したい!

長くなりましたが以上です。また次回!